Lカゼイシロタ株400億個が入った「ヤクルト400」という特定保健用食品のキャッチコピーは「生きたまま腸に届く」だったのに、今日の電車内広告では「腸トレ!」(腸のトレーニング)となっていました。

私にはガーンというショック! もちろん、大多数の方はどっちでもいいかも知れませんが、ベターなコピーになりました。ベストではないのですが、なぜそう思うのかについて今日はお話ししたいと思います。

さまざまな細菌が人間の体の中に住み着いていることと、乳酸菌などの発酵食品を多く取る人たちの寿命が長いことは、両方とも知られています。いろいろと調べていくと、体内、特に腸内に多く生息する菌類の中で、乳酸菌(実際は数多くの種類と数多くの菌数がある)はいわゆる善玉とされ、下痢などを引き起こす悪玉と区別されています。

どうすれば健康、特に腸の健康を維持できるか、を考えると、短絡的に「善玉菌である乳酸菌をとればいい、しかし、胃酸などで殺されないように生きたままとどけて、腸内で住み着かせればいい」と思いがちです。「生きたまま腸に届く」というキャッチコピーも、この文脈から作られたものだと、誰の目にもそう見えます。

おそらく、このようなキャッチコピーは誤解を定着させるものであるとヤクルトも知っていたと思われます。だから、「腸トレ」のようなキャッチコピーにしたのでしょう。そうです、生きていようと生きていまいと、ある種の菌を含む飲み物などを摂取したときに、腸内細菌のバランスをよくしたり、整腸作用をもたらすことは、学界の常識となってきていたのです。

カルピスと異なり(カルピスは死んだ菌でも効果があることを信じてきたのですが)、ヤクルトは長いこと「生きた菌を体内に取り込む」ことに固執してきていました。「生きたまま腸に届く」ということが真実であってもなくても、この表現は、「生きた菌を腸にとどけ、そこで住み着かせ、体調を良くする」ことを暗示する表現となってしまっていると思いませんか?

ヤクルト中央研究所で研究されてきた方から話を伺ったことがあるのですが、(ヨーグルトなどの乳酸菌を)プロバイオティクスとして体に取り込むと、人体の免疫系である、マクロファージやNK細胞などが活性化され、悪玉菌などに対しても優位の状態に変化することがわかってきているのだそうです。つまり、直接乳酸菌を住み着かせるのではなく、死骸を含め、乳酸菌などが体の免疫系へ刺激をして、間接的に腸の状態や体調を良くする方向に働くらしいのです。

したがって、「腸トレ」も本来的には正しくはありませんが、伝達内容としては「生きて・・・」よりはましに思えます。ヤクルトも、きっと「免疫トレ」とか「免疫力アップ」としたいところでしょうが、これはこれで、薬事法の関係で「待った!」がかかることになるので、使えないのです。

薬事法はやっかいなものです。真実であっても、薬以外のものに薬効をうたうことはご法度だからです。したがって、このように歪曲した表現が世に出てしまうことになるのです。私の個人的な意見としては、薬品以外の食品等の表現は、特定商取引法の「不実の告知」で取り締まればいいことであり、「乳酸菌をとって免疫力をアップ!」といった正しい表現を許してもらえるようになれば、歪んだ表現はなくなるのに、と思います。

皆さん、新聞や雑誌に載っている健康食品の広告文はかなり歪んでいると思いませんか?

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