今、あたたは宇宙船に乗っています。残念ながら、仲間は皆死んでしまいました。宇宙葬を終え、生き残る可能性を探す旅を続けていたとします。考えたくない悲しい状況です。

オリンピックの応援などを見てわかるように、類似でも異なる種のものがあったとき、私たちは自分の種を応援します。涙します、感動します。でも、ひとつひとつが悲しいことに亡くなっていったら。日本人が自分一人になったら、きっと他のアジアの人を身寄りの人のように感じるのでないでしょうか。人類が皆消えてしまったら、他の生き物、特に哺乳動物を身近な仲間に感じるのではないでしょうか。

宇宙船でひとりぼっち。星新一のショートショートのようですが、このような状況だったら、きっと芽吹いた植物へすら、愛情、「仁」を感じるのが当然だと私は思います。

地球温暖化が進むいまの状況は、宇宙船で次々と仲間が亡くなっていっている状況のようなものです。XY染色体をもった男性にも、女性と同じXという染色体があります。もちろん、性染色体以外の何十もの染色体はいっしょです。根っこはほかの動物、他の植物とも同じです。

ナショナリズムは善か悪か。その働きの根本は、「芽吹いた植物へも愛情を感じることができるもの」だと思います。排他的、自己中心的な考えに傾く可能性も秘めたものではありますが、広く愛情を注ぐことも可能な実体ではないでしょうか。

先ほどの、宇宙船の状況など現実離れしていますが、頭の中で想像することはできます。これを「思考実験」と呼び、アルバート・アインシュタイン、湯川さん、朝永さんら理論物理学者たちがよく行ってきた手法です。学生時代、南部陽一郎さんの論文もよませていただきました。ぞくぞくとノーベル賞を受賞されている方々に大変うれしく思いますが、もう高齢になられたこのような方々に続く私たちも、先輩たちが行ってきた数々の推察、推論、仮定、思考実験などを繰り返し、本物を見つけるように努力を続けていかなければならないと思いました。

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