嘘がつけない。だから、嘘はつかない。
2008 年 11 月 4 日
キリンビバレッジのコーヒー「Fire」のキャッチコピーを見ました。
嘘がつけない。だから、嘘はつかない。
なかなかいいと思います(今日、二種類の缶コーヒーを新発売の様子)。「が」と「は」の対比的な使い方にも、うならされます。
日本語の「が」と「は」の使い分けは、外国人には非常にむずかしいらしいです。ちょうど日本人が冠詞・無冠詞の扱いがむずかしいのと同じくらいだとも言われています。
最初の「嘘がつけない」は、性格的に、あるいは根っからの特性として嘘をつくことができない、ということを述べています。また、「だから」に続く「嘘はつかない」では、単に事象陳述あるいはまた個人的な意思として「嘘をつくことはしない」ことを述べています。そっくりなこの二つの文、発話タイプの力の種類も、異なっていると言っていいでしょう。
ちなみに、文法的な説明を行いますと、「が」は格助詞と呼ばれ、表層的にはいっしょにくっつく名詞と共に述部にかかり、深層的には述部の意味をより明確にします。つまり、誰が(主格)とか、何を(対象格)とか、いつ(時格)、といった情報伝達のフレームを構成します。
それに対して、「は」は格助詞ではなく、副助詞あるいは係助詞とも言われているもので、「も」とも同じ仲間です。これは見えていない格助詞の上にのかっているものです。つまり、
「嘘はつかない」=「嘘をつかない」+(私の場合)「は」
のような構造をしていて、「は」が「を」の上に乗っかって、見えていないと考えることができます。西九州の言葉では、「は」の代わりに「をば」と言ったりするのは、そのためです。「嘘はつかない」の「は」は、この場合「をば」と等価です。
「私は行かない」
という文を読んだとき、言外に「人はいくかもしれないけれども」という意味合いを感じたりします。「行こうと思えば行けるけれども、行かないことにした」のように響きます。
「私が行かない」
という文は単体では使わないでしょう。この短文は、文法的には正しくても、語法的には誤っている場面が多いと言えます。でも、最初に日本語を学ぶとこのような文を作ってしまいそうですね。もちろん、
「私が行かないと困る人がいるので」
というように条件節の中に入れると、何ら変なことはありません。このように、たった1音節の助詞が、微妙な状況や意志を伝達するわけですね。
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11 月 4th, 2008 at 7:42 PM
「嘘がつけない。だから、嘘はつかない。」
「なぜ、知っているのですか?」と思わず言いそうになりました。飲料のキャッチコピーなのですね。
驚きました。
嘘って覚えていなくちゃいけないので。。。誰にどんな嘘をいったかどうか。。。これが覚えられないので、私は嘘はつきません。「嘘も方便」という言葉もありますが、そうできません。世の中を生きにくい理由の一つでもあると思います。
そのため、上のコピーは本当にドキッとしました。
ドキッとしたので、私もよいキャッチコピーだと思います。