オバマ伝道の勝利
2008 年 11 月 6 日
シカゴで昨日(11月5日)、アメリカ大統領選挙を勝利したバラク・オバマ氏の演説がありました。一言で言うと「Yes, we can.」演説です。ここではまた最初に、「人民の人民による・・・」のリンカーンの演説も持ち出して、アメリカの民主主義こそが(富や繁栄ではなく)私たちの宝だと述べました。
アメリカだけでなく、この感動は世界に伝搬されました。題名に「伝道」としたのは、私にはどうしても1国の政治家を超えた「思想の伝道」に感じてしまうからです。何という思想かと申しますと「empathy」(共感)とNHKは昨夜のニュースで伝えていました。また、調べていくと、2006年3月6日付のUSA TODAYでは「crossover appeal」(垣根を超えたアピール)という説明がありました。
これまでのタブーに果敢に挑戦します。オバマ氏のスピーチの中に「キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の壁を打ち破りましょう」というものまであります。ジョン・レノンの「イマジン」にも共通するものです。
Imagine there’s no Heaven(天国がない、ということを想像してごらん)
It’s easy if you try(やってみたらできるでしょう)
No Hell below us(私たちの下に地獄もないことも)
Above us only sky(頭上にあるのは「空」です)
Imagine all the people(そう、人は皆)
Living for today…(今という時のためにいきている、ってこと)
Imagine there’s no countries(国がない、ということを想像してごらん)
It isn’t hard to do(できないことはないでしょう?)
Nothing to kill or die for(殺したり死んだりする目的はないということ)
And no religion too(そして、宗教がない、ということも)
Imagine all the people(そう、人は皆)
Living life in peace(平和に生活を送っていることを想像してごらん)
You may say I’m a dreamer(夢を見てるのかって?)
But I’m not the only one(でも、僕一人じゃないよ)
I hope someday you’ll join us(いつかいっしょに進まない?)
And the world will be as one(そして世界もひとつになるんだ)
Imagine no possessions(所有がない、ということを想像してごらん)
I wonder if you can(どう、むずかしい?)
No need for greed or hunger(欲ばったり、飢えの心配もない)
A brotherhood of man(人が皆仲間だということ)
Imagine all the people(そう、人は皆)
Sharing all the world(世界を共有していることを想像してごらん)
You may say I’m a dreamer(夢を見てるのかって?)
But I’m not the only one(でも、僕一人じゃないよ)
I hope someday you’ll join us(いつかいっしょに進まない?)
And the world will live as one(そして世界もひとつになるんだ)
(和訳は今日やってみました)
この詩をしっかりと聞いたときのショック。欧米にはキリスト教という揺るがない宗教があり、「所有」の概念が確立している、いわば完全な牧畜文化に対して正面切ってこんな詩をつけた曲を演奏するなんて、ありえないと思いました。歴史と伝統に反旗を翻すことになるので、このような意識が広がることなど単なる「理想」のひとつに思えていました。
オバマ氏のシカゴ演説では、決して「民主党の勝利」とは言いませんでした。これもまた彼の演説の特徴です。empathy(共感)を大切にするため、得意がることは決して行いません。
少し、冷静に彼の演説を分析してみましょう。
●YOU
通常の彼の演説のとおり、話を聞いている「あなた」にフォーカスを当てます。
「あなたの勝利です」と述べ、決して「自分が勝った」「民主党が勝った」のように言いません。この堂々とした態度に対して、選挙戦の終盤にマケイン陣営が行ったネガティブ・キャンペーンがまさに格好悪く見えてきます。謙虚であることを日本人だけの美徳と思っている人がいますが、世界に通用する価値観でもあります。オバマ氏の勝利演説も非常に謙虚であり、これが全米だけでなく世界へ共感を伝搬していきます。
●身内への謝辞と負けた側への言葉
不支持者の存在を認めた上で、支持をしてこなかった人に対して「あなたの声は聞こえる。わたしはあなたの大統領になる」と述べ「私はマケイン議員を称えます。そしてペイリン知事を称えます。マケイン議員たちが成し遂げてきたことを称えます。そしてこれから、この国の約束を再生させるため、マケイン氏たちと共に働くのを楽しみにしています」と。
●WE
さまざま課題(イラク・アフガニスタンとの戦争、地球環境問題、金融危機)を述べ、すぐに解決できないことも伝えながら、「自分たちはやりとげることを誓う」と。(Yes, we can.)
●クロージング部分
God bless you.
God bless the United States of America.
このように、現在、過去、未来を述べながら、I, You, We, (今回はあまりなかったですが)Theyなどの関係をクリアに述べ、課題とともに希望を伝えていきます。彼の演説は決して難しくありません。日本の高校1、2年生の教科書にも使えるものだと思います。
最後の「God bless you」は、まさに適訳がありませんので、とても残念です。確かに言葉をそのまま訳すと「神のご加護を」になってしまいますが、彼の通常の演説では、
I love you.
God bless you.
のように言いますので、まさに「ありがとう、あなた大好き!」のような響きです。普通、自分のことを本当に心配してくれる人からだけ、このような言葉をいただきます。「あなたのご発展を確信しています、だって神様があなたを祝福していらっしゃるのですから」という意味に、いつも私は感じています。
日本のマスコミでは「CHANGE(変革)を訴え、とても演説がうまいオバマ氏が勝利した」と伝えています。もちろん表面的にはそうなんですが、それ以上に、オバマ氏の演説は、デンタツの内容も、質も力も本当にすばらしいものです。原文は以下にありますので、じっくりと読まれることをお勧めします。
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11 月 6th, 2008 at 2:12 PM
やっぱり、オバマ氏の演説はすばらしいですね。
「共感」。。。
今の時代に一番受け入れられるものですね。きっと。
演説はアメリカ国民だけでなく世界各地で「共感」をもって受け入れられたでしょうね。
言葉って本当にすごいと思います。
オバマ氏の表現力というのもすばらしいのですよね。
だから、多くの人が惹かれていくのですね。
「言葉は人格だ」といいますが、
この大統領選を通じての、ヒラリー氏VSオバマ氏、マケイン氏VSオバマ氏の要要の演説を比較すると「米国民がなぜ、オバマ氏を選んだか?」がわかるでしょうね。
ここぞというときに、ヒラリー氏にもマケイン氏にも焦りが見えるんですよね。その分、オバマ氏の方に品格の高さを感じるんですね。
新しいアメリカ。今後のオバマ氏が楽しみですね。
11 月 6th, 2008 at 3:54 PM
欧米の国で、つまり、先進のいわばトップのアメリカ合衆国という国で、宗教や経済などの壁を壊せという人が当選したわけです。いい国になるかもしれない、と思って投票した人々の気持ちがすごく伝わってきてうれしかったです。
さあ、私たちも脱皮して新しい時代に入らないと、と思いますね。