米国が裁く形で東京裁判が行われ、何度か、日本政府が対外的な謝罪を行ってきましたが、日本人によってきっちりと総括ができていないという問題について、改めて思い知らされた出来事でした。はずかしくて、(近隣の国々に)なんと言っていいか言葉が出てきません。もし、中国人や韓国人の友人が田母神さんにいたら、このような話をすることなどできないだろうに、と思いました。しかられた子供が、駄々をこねて、「ぼくがわるいんじゃない」と言っているようにも感じます。あるいは、「いいたいことを言えたからきもちいい」と言っているようにも。彼が航空幕僚長だったのです。

もちろん、「日本軍の侵略は濡れ衣」発言について、ある意味彼自身の資質(品格と見識)の問題と任免責任は問われるべきでしょうが、本質的には「思想・信条の自由」のため、大きな問題になりようがありません。もちろん、教師になったり、公務員になるには日本国憲法を学び、その精神と内容を身につけていないと本来、公務員になれないようになっていますし、公務員は憲法を守らなければならない、とされています。

明らかに、憲法の精神に多少違反している可能性がありますが、残念なことに、現在の日本国憲法には、日本の侵略性については記述がほとんどなされていません。野党のいつくかの党は9条の改正をストップしたいために護憲の立場をとっていますが、過去の総括が憲法も十分になされていないことは、誰も言及しません(もちろん、憲法の中身としては、暗黙の前提=侵略するにいたった経緯=を間接的に説明し、それゆえに平和の大切さを主張していますが、直接的な説明や総括は外しています)。

このように、日本の侵略、もとい進行は正しかったと信じている人が航空自衛隊のトップに君臨していたわけです。しかし、私は何よりも戦後63年間、しっかりした国会決議も政府見解も出されてきていないことに、非常に落胆してしまします。なんと、95年の村山首相の談話が政府見解の根拠となっているのです。自民党はこれまで、まともな政府見解は出してきていないのでしょうか?「不幸な歴史があった」といった程度の意見しか対外的に言えてないのでしょうか? そしてそれで十分だと思ってきたのでしょうか。

誤った判断と行動により、国内外に甚大な被害と精神的な苦痛を与えたことは、亡くなった方はもちろん、耐えて生活してきた方々へまずお詫び申し上げるべきものだと私は思っています。それは決して、日本を傷つけるものではありません。これを行わないことが、日本の恥をずっとさらしてきていることなのです。愛する日本の立場を回復するためにも、外部から求めに応じるのではなく、自主的に明確に表明すべきだと思います。

「米国の言いなりだ。大企業優先政治は変えなければいけない」と主張する野党も、米国から与えられた日本国憲法を守る党の立場に現在なり、米軍依存の安全保障についても沈黙状態です。戦前から戦中にかけて、政治的、経済的な問題の解決のために、軍事に依存し、不幸な歴史を押し進め、日本国民と諸国民に多大の苦労と犠牲を与え、自力で解決できない状態で終戦をむかえたことを、さまざまな立場で総括できていないのです。

憲法は唯一、国権(司法、立法、行政)を制限できるものです。憲法では歴史認識を明確にうたうことができます。そして、諸国民との協和をはかりながら、国民と国家の永続的な発展のため(これが目的)に、国民の委託を受けて、国権が職務を行うことを明確に定義すべきでしょう。不戦の誓いとともに、国民の生命財産を守るという約束もされなければなりません。安定した財政を保ち、平等かつ迅速な行政サービスの実施も、憲法の規定としてすべきものだと考えます(なぜ、国民の義務は規定し、国権の責務を明確に規定できなかったのでしょうか? チェックの時間が不足したためでしょうか?)。

憲法改正反対の方々は、きっと改悪は危険だから守るべきだ、とおっしゃっていると思いますが、本来、何が規定されるべきで、何が現在問題なのか、考えることをストップしています。いい憲法なので変えてはならない、と主張します。米国による一国占領、サンフランシスコ講和、日本国憲法、米軍駐留、これらをありのまま、あたえられたものをありがたく、いただく日本の文化は、単にトラブルを避ける、棲み分け文化なのかも知れません。でも、これは思考停止です。

おそらく、田母神さんの発言はドイツでは憲法違反になり、公職追放でしょう。でも、ちゃんと総括し、規定を作っていない日本の憲法では野放しです。これまで、終戦から60年以上を経過して、日本国民を代表して先の戦争を総括した国会決議はあるのでしょうか? 村山首相の個人的な談話以外に自民党の政権としての政府見解はないのでしょうか? 何ができていて、何ができていないのか、本来は何をしなければならないのか、残念ながら日本のメディアも、ほとんど的確な指摘はできていないように思います。

憲法での規定がすぐにできないのなら、明快な国会決議または政府見解を出していただきたいものです。それこそが、田母神さんの希望でもある、日本という国そして国旗にも誇りをもてるようになるステップだと思います。「濡れ衣」発言はもちろん、逆行です。反対の立場に立てないと主張したようなものです。オバマ氏のempathyの逆さまです。このような発言により、海外で「また、日本の高い地位の公務員がこんな発言をしたよ」と言われたくありません。ぜひ、道徳教育で、独善的、排他的、自己中心的な考えに対して、柔軟な思考を与える教育を施せるようにしたいものです。

さあ、60年以上経過しました。そろそろ、次のステップへ行きましょう。

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One Response to “田母神・前航空幕僚長発言と政府見解”

  1. SALTY-SALTY Says:

    また、ずいぶんと硬い話題ですね。
    言わずに通り過ぎることができないという感じですね。

    私は、田母神発言そのものよりも
    自衛官の方のアイデンティティーというか、
    職業観というか、国防への士気というか、
    そういったものがとっても気になります。

    今後、彼ら(自衛官の方々)はどんな風に自分の
    職業への気持ちを持っていったらいいのか。。。
    何だかとっても難しいことになっていきそうです。

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