論語は社会のFAQです

2008 年 11 月 25 日

この三連休の間、解説書ではありますが「論語」についての本を読み始めました。

「うーん」と言ってしまうような話がたくさんで、とても興味深いです。「本当に二千数百年前の話だろうか?」と思ってしまうほど新鮮な言葉に驚かされます。感銘を受けた話のいくつかをご紹介してみたいと思います。

孔子が死後の世界のことを尋ねられたとき、「現存社会ですらよく分かっていないのに」と、論ずることすら避けます。彼は死後の世界、神秘主義などを極力排除します。あくまで現実世界で社会が秩序を保ち、発展していくために人が人とどう接すればいいのかを「仁」「礼」「徳」といった言葉で具体的に説明します。

孔子が「聖人」と言われたときにも、「とてもとても」とその意見を受け入れません。どうしてかと言うと、「聖人」や「君子」「大臣(非常にすぐれた臣下)」などの定義を行っているのは彼自身であり、自分はそれに当たらないと明確に述べているのです。

「友の遠方より来る、また楽しからずや」と、感覚的感情的にわかりにやすく伝えていることや、「40歳=不惑」「50歳=天命を知る」などの話も、「40歳はどうあるべきだ」と教条的に教える話ではなく、「私自身はこうだった」と感想を述べているさまを読むにつけ、自身の立ち位置を明確に知り、自身の行為による効果を明確に測りながらデンタツしていることを、私はすばらしく思います。

自らを「神」だ「王」だ「皇帝」だと権力を集中させ、権威を高めてきた人や、死後の世界や神秘性などを伝えて「(知らない、分からないことを)信じること」こそが大切な行為だと求める宗教者とは全く立場が異なっています。

とかく、人間は自身が不完全なため、完全なもの、あるいは未知なる強力な力を求めがちです。たとえば、孔子も完全な人だと考えたり崇めたりしがちですが、そのこと自体、彼から否定されるでしょう。彼の関心はそのようなことではなく、どうしたら平和に明るく暮らしていけるか、人と人はどのような関係を保てばいいのかについて、まさに草の根の伝道をしながら、為政者の求めがあればそれに応えていくという態度を貫いていますし、いい家庭を作ることもいい国家を作ることと同じだと言い切っています(人と人との関係だからです)。

論語は、主に弟子たちの疑問に対する回答の書です。FAQ(Frequently Asked Questions=よくある質問)といってもいいのですが、弟子たちもズケズケと質問し、見事に回答している様子がとても興味深く、とても楽しく読める書籍です。決して古臭いものでも、権威主義のものでもありません。不安定な時代だからこそ、読んでみてはいかがでしょうか。

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7 Responses to “論語は社会のFAQです”

  1. SALTY-SALTY Says:

    一ヶ月ぐらい前のことです。
    ちょうどこのソバシマさまのブログに
    コメントを始めたころだと思います。

    本屋さんめぐりというのは、
    若いころからの趣味の一つなのですが、
    (私は本を読むのは速いほうだと思います。
    一日文庫を2冊というのは、普通に読めていました。)
    10月中旬に何冊か買った本の一冊に『論語』が
    ありました。

    息子に読ませようと思ったのです。
    そのまますっかり忘れていました。
    よかったです。

    ビギナーズクラシックス 中国の古典 
    「論語」 加地伸行 
    角川学芸出版(角川ソフィア文庫)
    H16.10.25初版

    手元にあるものはH20.1.30の11版のものですが。。。

    私は、このビギナーズクラシックスが好きで
    息子のためによく買います。
    「源氏物語」「枕草子」「数学物語」など。。
    初心者にとって低いハードルで書かれているように
    思いますので、息子もすっと入っていけます。

    私も読んでみようと思いました。

    それと
    横文字に弱い私は、
    “FAQ”の元の言葉を知りませんでした。
    前後の意味から「こんな意味だろうな?」
    というところで止まっていました。
    近頃、息子の影響ですぐに調べる生活が
    復活してきていましたが
    (近頃は電子辞書やPCという便利なものが
    ありますので。。
    携帯にすら辞書昨日がありますね。)
    やっぱりきちんと知ることは大切ですね。

    今日のこの記事は感謝です。
    ありがとうございます。

  2. SALTY-SALTY Says:

    「辞書昨日」は「辞書機能」の誤りです。
    変換ミスは、本当に情けなくなります。(汗)

  3. SALTY-SALTY Says:

    「初心者にとって低いハードルで書かれているように
     思いますので、息子もすっと入っていけます。」

    この一文の意味は、程度を落としているという意味ではなく、内容の程度は変わらないけれど
    「初心者向けに入りやすく書かれている」
    という意味で書いています。

    「中学生や高校生や初めてこれに触れる人(初心者)に とって親しみやすく書かれている」
    という意味です。

    上述のビギナーズクラシック「論語」の
    “はじめに”を読んで、「書いておかなくっちゃ」と
    思いました。

    ついでですが、
    息子は小6ですが、本を読むスピードは
    私の2~3倍の速さです。

    本を読むスピードについては私も友人には驚かれますが、その私も息子には驚きます。

  4. admin Says:

    読書は、書かれた言葉からだけで事象や心情、情景、できごとを体験できるのですから、人類の発明の中では最上級のものではないでしょうか。想像力、考え、意見や見識のためにも読書を行いたいですね。

  5. SALTY-SALTY Says:

    ソバシマさまがおっしゃるとおり、
    「論語」って古いけれどとっても新しいですね。
    今の時代に何の違和感もないのですから。。。

    「君子=教養人」と「小人=知識人」の違い
    というのがいいですね。
    「君子=為政者」と「小人=民」ではないのですね。
    たくさんの人が誤解しているでしょう。。。

    「人生、一押しの書」は「論語」でしょうか?

  6. admin Says:

    「人生、一押しの書」とはどんなものか、を考えるとちょっと難しいですね。
    「論語は社会のFAQ」と書きましたが、考え方のガイドライン(手引き)であることなのです。特に今日書く予定の「中庸」は今後のビジネスや生活に活かしていきたいと思っています。
    現代にかけているのが他への思いやりと中庸(適切かどうか場面や対比するものとを比較検討して判断し、「安(全・心・定)」あるいは「改善」に役立てることのようなもの)ではないかと思います。マッシュアップの記事にも書いたように、私たちは資産(知識や経験、考え方)を活かせるので、しっかり考え、検討し、妥当・適切な行動をとれるようにできることがいいと思います。
    亀井南冥は「背景・文脈がわからなければ論語は読んでも適切に理解できない」と述べています。だから彼は全20巻もの解説書を江戸時代に書いているのです。現存するのかどうか知りませんが、それも読んでみたいですし、「現代版・生き方マニュアル」のようなものを考えてみたいと思っています。
    ここで確認しなければならないのは、決して「孔子を最高の人だ」とか「聖人だ」と思ったりするではなく、「ふーん、そうか、そうだよね」のように感じることでOKだということです。決して(例えば宗教のように)絶対視してはならないと思います。
    男性(ばかりではありませんが)が短絡的に暴力に走ったり、女性(ばかりではありませんが)が運命や占いに走るのは、思考や判断することから逃げていることです。また、絶対視したり神格化することは孔子が考える思想とは相容れないものなのです。そこが私のお気に入りのポイントです。

  7. SALTY-SALTY Says:

    本日12/8(月)の中日新聞・中日春秋で

    「『知識人』とは、どういう人なのか。若者に尋ねられた加藤周一さんは、サルトルによる定義を紹介している。核兵器の実験室で働いているだけの人は知的技術者にすぎない。仕事の社会への影響、歴史的な意味を問い詰めることで知識人になる、と。」

    「戦後日本を代表する、」「世界に通用する」といわれた知識人。。。加藤周一さんについてのお話でした。

    この「知識人」の定義が、論語での「教養人」なのでしょう。知識を持っているだけではなく、知識+判断力を持った人が「教養人」だということですから。。。

    人それぞれで言葉の定義は異なるので、誤解されていると思う。。ということを言いたかったのです。

    今日の新聞を読んで、このことは付け加えておかなければ、コメントそのものを誤解されてしまうように思いました。言葉は、足りなくても多すぎてもいけないのですね。「中庸」が大事。。。そのとおりのようです。

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