背水の陣

2008 年 12 月 22 日

一生懸命
ひたすら
背水の陣

などは、日本人が好む表現ではないでしょうか。それとは反対に、策略のようなものは嫌われます。

「ひたすらがんばったけど、だめでした」でも、大方の日本人からは受け入れてくれます。

「ひたすらがんばった」ことが重要であり、「かわいそうに」と思ってもらえます。情緒という「共感」文化があるからです。

最近でこそ、「経営責任」という言葉が使われますし、政治家は「結果責任」をとるなどと言いますが、あまりしっかりした意味合いで認識されていないのではないでしょうか。

「ひたすら」な情緒は、ドライな欧米人には理解しにくいものの一つですが、日本人には結構分かりやすいと思います。

さて、この記事を書こうかどうしようか、今度も悩みました。

精神論に触れる部分は、タブーです。タブーに触れると想定以上、必要以上の反発を受けてしまうからです。

タイトルと、ここまでの説明を読んで、私が伝えたいことがピンとわかった方もいると思います。

「背水の陣」は、背中を水辺に向け、退路がなくなったかのように見せつつも、実は、別軍を回り込ませ、弱い背後から攻める戦法です。もちろん、背中を川に向けた兵隊には、退路がないので必死で戦うことを仕向けます。また、相手には「しめしめ」と思わせて油断させることになりますが、別軍を忍ばせて、攻めてきている軍の後方の弱い兵へ背後から襲いかかるのです。

この方法は、日本人的には嫌われる策略、卑怯な戦法ではないでしょうか? 是非についてはここでは論評しません。

この話をご存じなかった方もいらっしゃるでしょう。

でも、このような戦法であることを知っていて、あえて伝えないのか、知らずに

一歩も退くことのできない絶体絶命の立場。
失敗すれば再起はできないことを覚悟して
全力を尽して事に当ること。「背水の陣を敷く」(広辞苑)

という語義を作り、育て、伝えているのでしょうか?

《参考》 Yahoo!の知恵袋

きっと「この話はするな」とおっしゃる声があるのではないかと思います。あまり感心する話ではないからです。

日本では、親心として、あまり苦労は子どもには知らせないようにします。汚いものは見せないようにします。親ではなく、教師であっても同じです。

戦々恐々とした状況や気分を伝えたり、人を欺くようなことを考えることは、教育的な配慮からしたくないことです。

でも、本当に悲惨なことや事実を伝えるためには、隠さない勇気も時に必要だと思います。(飛行機のパイロットなど)冷静な分析力を持つことも大切です。

そして、社会へ飛び出るときまで、年齢ととも、苦労や現実世界について知る割合は高めていかなければならないと思います。

しかし、日本では、社会に出るまで、親も、教育機関を含む社会も、ほとんどそのようなことは行いません。

サバイバルの心構えを教えられたこともなければ、親も教師も、自らそのようなことは伝えたくないのです。

本来は、この社会性に関する教育は、男性(父親)が果たさなければならない大切な仕事ではないでしょうか?

さまざまな困難にぶつかり、それを理解し、対処していく。

いろんな教科を通して子供を教育しているようでいて、また、過去の歴史や過去から得られた叡智を教えているようでいて、実は、それ以上に、どのように困難に対処していくかの底力をつけることが、一番必要で大切なことだと思っています。

私が青年海外協力隊に応募したとき(1980年の夏)の試験問題を今でも覚えています。

「あたたがいままで遭遇した一番の困難について記しなさい。そして、それをどう克服してきたかについても」

はじめてこのような試験問題を見ました。問題解決能力と表現力を求める、いい問題だと思いました。

日本の今の教育システムでは、社会に出るまで社会の荒波をしっかりとガードしてあげて、社会に出る瞬間に「社会人になってね」とポンと突き放していないでしょうか。

内定取り消し問題についても、従業員カットの問題についても、社会はもっと真剣に考え、対処しなければなりませんが、むずかしいことは考えない、議論しない、対処しない、あるいは言いっぱなし。情緒的なものは感じる、わかるということでは、どうにも対処できなくなってしまいます。

さて、オバマさんは、「共感」を伝え、「変化」を約束する方法でデンタツを進めてきました。

私たちは彼の改革に期待しています。でも、彼は言いました「It is your victory」。

彼は、ケネディーが言った言葉と同じ内容を伝えてくることでしょう。つまり、「国家に求めず自分に求めよ」「変えるのはあなただ」と。そのときに、そのとおりだと思う人と、期待はずれだったと思う人の2通りに分かれるかも知れません。

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One Response to “背水の陣”

  1. SALTY-SALTY Says:

    ソバシマさま

    親も教師も子どもに悲惨な現実を見せたくはないのです。なぜかというと、それは大人になればいやでも直面する問題だからです。ソバシマさまがおっしゃるように本来、親が少しずつ教えていくべきものでしょう。。。
    でも、それをしないのは、いやでも現実を思い知っていくときが来るからだと思います。
    ですので、今、子どもでいられるとき、そういう時は短いので、良い思い出ばかりが残るようにしたいのだと思います。ですが、自分で乗り越えていく力をつけていき、問題解決の能力をつけていくことは本当に大切です。おっしゃるとおりだと思います。
    *渡る世間は鬼ばかり
    *人を見たら泥棒と思え
    こういうことは、親も学校もほとんど教えません。
    人を信じることや人と協力することを教えます。その方が、前向きであり、生産的であると思います。しかし、より難しいことだとも思います。

    スポーツというものがあります。
    誰もがスポーツは、すばらしいといいます。スポーツマンシップとえば、明るく健全なイメージの代表選手のようです。ですが、よく考えてみてください。サッカーにしろ、バスケにしろ、野球にしろ、テニスにしろ、勝つためには相手の弱点を突くのが一番です。スポーツとはそういうものです。だけれどもだれも汚いとはいいません。スポーツの世界は厳しいものだと思います。

    フェアプレイというのがもてはやされるのは、それが本当に難しいからです。
    子どもが本当に問題解決の力をつけるまで、子どもの状態を見守りながら、いろいろなことを考えているのが親であり、教師ではないでしょうか?

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